認認介護とは、認知症を発症している高齢者が同じく認知症を患っている高齢者の介護をしている状態を指す言葉です。主に高齢の夫婦間や、親と子の間で発生することが多く、超高齢社会を迎えた現代の日本において非常に深刻な社会問題となっています。これまでは、健康な高齢者が高齢の家族を介護する「老老介護」が中心でしたが、平均寿命の延伸に伴い、介護する側・される側の双方が同時に認知症を発症してしまうケースが急増しています。双方が適切な状況判断をすることが難しいため、日々の生活におけるリスクが非常に高くなる点が特徴です。認認介護の現場では、服薬の管理が正しくできずに薬の飲み忘れや過剰摂取が起きたり、火の不始末による火災、栄養バランスの偏った食事による体調悪化などが大きな懸念点となります。また、自身の認知症の進行により、相手を介護しているという認識自体が薄れてしまい、結果として必要なケアが行き届かない介護放棄のような状態に陥ってしまう危険性もはらんでいます。
さらに深刻なのは、この問題が家庭内だけで完結してしまい、周囲から見えにくくなる社会的孤立です。本人たちに自覚症状がない場合、外部への相談をためらったり、周囲からの支援を拒んだりすることがあります。その結果、福祉の専門職や地域住民が異変に気づいた時には、すでに状況が限界に達しているという事例も少なくありません。この問題を防ぐためには、早期に周囲が異変を察知し、地域包括支援センターなどの公的機関へ繋ぐことが不可欠です。ケアマネジャーによる適切なケアプランの作成や、デイサービス、訪問介護などの外部サービスを積極的に導入し、家庭内だけで介護を抱え込ませない社会全体のサポート体制が強く求められています。